17分/2022年制作
撮影・編集・録音・監督:川瀬 慈
使用言語:アムハラ語(日本語字幕)
撮影場所:Duka Masinqo、アジスアベバ エチオピア連邦民主共和国
撮影:2022年6月6日
東京ドキュメンタリー映画祭2022「人類学・民俗映像部門」準グランプリ
エチオピア連邦民主共和国の都市にある吟遊詩人酒場 "アズマリベット"。ここでは、弦楽器マシンコを弾き語る楽師アズマリが人生の無常や恋についての伝承歌を歌い、庶民を楽しませる。アズマリのパフォーマンスの特色は歌い手のみならず、聴き手も即興的に詩を生み出し、歌い手に投げかけていくことにある。アズマリはそれらの詩を弦楽器の旋律にのせて一字一句復唱し、聴衆に聴かせる。本作は、2022年の6月6日の晩、アジスアベバのアズマリベットにおいて、長回しのシングルショットによって記録されたアズマリ、ソロモン・アイヤノー氏と客たちの詩のやりとりである。ここで歌われた詩の内容は、新型コロナウィルスの世界的な蔓延、ティグライ人民解放戦線(TPLF)と政府軍の争いをはじめとするエチオピア国内の戦争、過去、現在のエチオピア首相に対する批判、さらには大エチオピア・ルネサンスダム(GERD)の建設をめぐるエジプトやスーダンとの外交摩擦に至るまで、多岐にわたった。アズマリベットの歌は、エチオピアの社会情勢や庶民の気持ちを映し出す鏡である。